流通していても利用しないファイルは山ほどある。なぜ,利用するのか,には,理由がある。たとえそれを犯罪者の理由と呼ぼうが,法律や,制限では,なにも変わらない。
quote:アンドリュー・カンター氏のコラム。最高裁のグロックスターとストリームキャストに対する判決は,結果的にファイル共有の勝利となる。そしてエンターテインメント産業にとっては損失となるだろう。米国レコード協会(RIAA)のヒラリー・ローゼン氏は勝利宣言をしたが,裁判所はファイル共有自体を悪とはしなかった点が重要だ。
詰まる所,包丁を売るときには,この包丁で嫌いな奴を殺しましょう,と売ってはいけない,と云うことである。そんな当たり前のことを述べただけの判決であり,別におかしな判決でもない。とは云え,実際のところどぉすれば著作権侵害を奨励する活発なステップを踏むことになるのかがさっぱりわからないので難しいのだが(いままでのグロックスターとストリームキャストの行動しか判断基準がない),ともかく,DVDビデオをプレイヤーに入れたときに表示される注意書きみたいのをファイル共有ソフトの初回起動時に出して,「はい」を押させとけば十分だろう。だってアンドリュー・カンターが云っているように,ファイル共有自体を悪だとはしてなく,グロックスターとストリームキャストに悪いところがあった,と云う判決でしかないのだから。
それよりも,もっと知っておくべきことがある。スウェーデンがいままでよりちょっと厳しい著作権法を制定したが,ファイル共有に反対するグループの代表者は述べる(afterdown.comの記事)。「法律自体がなにかを変えることはない」。どんな法律があろうとも,戦争がおこれば人殺しをする人も出てくるし略奪も行われる。現状がマトモであれば,なにか面倒なことをすることもない。だが実際は,ユーザーは現在の音楽販売のシステムの不備に開いた口がふさがらない状態であり,それは一朝一夕では解決しないかもしれない。だが,解決する気がないなら,どんな法律も圧制もコピープロテクトCDのときのように役に立たず,ファイルはより活発に流通する。Winnyひとつを潰しても,みえないところでいくらでもファイルはやり取りされ続ける。それを止める術は,ネットワーク自体を破壊するしか,ない。それができないとわかっているなら,まともな解決策を模索している姿勢だけでも示すべきだが。さて。
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